乾癬は、少し盛り上がった赤い発疹(紅斑)と、その上に付着する銀白色のフケのような鱗屑を特徴とする慢性炎症性疾患です。かゆみを伴うこともあり、頭皮、肘、膝、腰など、衣服とこすれる部位にできやすい傾向があります。乾癬は見た目に強いインパクトがあるため、誤解や偏見を持たれることがありますが、他人にうつる病気ではありません。
乾癬
乾癬

乾癬は、少し盛り上がった赤い発疹(紅斑)と、その上に付着する銀白色のフケのような鱗屑を特徴とする慢性炎症性疾患です。かゆみを伴うこともあり、頭皮、肘、膝、腰など、衣服とこすれる部位にできやすい傾向があります。乾癬は見た目に強いインパクトがあるため、誤解や偏見を持たれることがありますが、他人にうつる病気ではありません。
明らかな原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような要因が複雑に関与すると考えられています。
遺伝的素因
親や兄弟など近親者に乾癬の患者がいる場合、発症リスクが高まることが多くの研究で示されています。特定のHLA(ヒト白血球抗原)遺伝子が関係していることが分かっており、これにより免疫系の反応性が変化し、炎症が起きやすくなると考えられています。
免疫異常
乾癬の根本には、体の免疫システムが正常な皮膚細胞に対して過剰に反応してしまう「自己免疫的な炎症反応」があると考えられています。通常であれば1か月かけてゆっくりと入れ替わる皮膚の細胞が、乾癬では免疫の異常な働きによって数日で急速に増殖してしまいます。その結果、皮膚の表面に厚みのある赤みや、鱗屑と呼ばれる銀白色のフケ状のかさぶたが形成されます。この免疫異常には、インターロイキン17(IL-17)やインターロイキン23(IL-23)といったサイトカインが深く関与しており、これらを標的とする新しい治療薬(生物学的製剤)も登場しています。
外的要因
けが、日焼け、感染症、薬剤などがきっかけとなることがあります。
生活習慣
ストレス、肥満、喫煙、アルコールの過剰摂取などが悪化因子となります。
乾癬の皮膚症状は、主に赤く盛り上がった発疹(紅斑)に、銀白色のフケのような皮膚(鱗屑)が重なって現れるのが特徴です。これらの病変は円形または楕円形を呈し、はっきりとした境界をもって出現します。発疹の表面は乾燥し、ざらついた感触があり、無理に剥がすと点状の出血を認めることもあります(アウスピッツ現象)。頭皮、肘、膝、腰など、衣服の摩擦を受けやすい部位に好発し、かゆみを伴うこともありますが、かゆみの有無や程度には個人差があります。また、乾癬は慢性疾患であるため、症状は良くなったり悪化したりを繰り返しながら長期間にわたって続く傾向があります。爪の変形や関節の腫れ・痛み(乾癬性関節炎)を伴うこともあり、全身的な影響がみられるケースも少なくありません。
これらの症状に心当たりがある場合は、乾癬の可能性も考えられます。一度皮膚科を受診することをおすすめします。
乾癬の診断は、医師による視診と問診が基本です。皮膚の症状の分布、形状、経過などから総合的に判断されます。必要に応じて皮膚の一部を採取する「皮膚生検」を行うこともあります。また、関節症状がある場合は、エコー、レントゲン、MRIなどの画像検査が必要になります。血液検査では特異的なマーカーはありませんが、炎症の評価や他の自己免疫疾患との鑑別のために行われます。
乾癬は慢性疾患であり、完治させる治療法はありませんが、症状をコントロールして再発を防ぐことが可能です。治療は症状の重症度や生活への影響度に応じて段階的に選択されます。
炎症を抑える基本的な治療薬です。
角化を抑える作用があり、ステロイドとの併用で効果が高まります。
使いやすく効果も高いため、よく処方されます。
新しい外用薬です。
紫外線の一種を照射することで皮膚の異常な細胞増殖を抑える治療法です。
限局した病変に対して効果的な紫外線療法です。
局所療法で効果が不十分な症例に用いられる内服薬で、PDE4という酵素の働きを阻害することで炎症を引き起こすサイトカインの産生を抑制します。
エトレチナート(ビタミンA誘導体)、シクロスポリン(免疫抑制剤)、メトトレキサート(免疫抑制剤)、デュークラバシチニブ(TYK2阻害薬)なども乾癬の治療に使用されます。
インターロイキン(IL)やTNF-αなどの炎症性サイトカインを標的とした注射薬で、既存治療で効果が不十分な中等症〜重症の症例に対して使用されます。それぞれの治療には効果と副作用のバランスがあり、患者さまの症状やライフスタイルに応じて選択されます。2025年6月時点において、我が国で使用可能な生物学的製剤は11種類あります。
乾癬は見た目の症状が目立ちやすく、患者さまが日常生活でストレスを感じやすい疾患です。しかし、治療法の選択肢は年々広がっており、適切な管理により良好なコントロールが可能です。まずは皮膚科で正確な診断を受け、状態に合った治療を継続することが大切です。自己判断で治療を中断したり、市販薬で対応したりするのは好ましくありません。日常生活ではストレスや睡眠不足を避け、規則正しい生活を心がけることも症状の安定につながります。
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